作業服の斬新なデザインとファッションアイテムとしての需要について

作業服は実用的な衣類として一定の需要がありますが、頑丈で長持ちすることを重視する一方で着心地の良し悪しは問題視されていなかったのが実状です。しかし、衣類の着心地が作業効率に大きく影響するのも事実なので、単に頑丈さだけを求めるのは決して最善の選択とは言えません。

また、価値観の多様化から作業服をおしゃれなファッションアイテムとして扱うケースも増えています。作業服を取り巻く環境の変化を学びましょう。

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作業服は過酷な環境でも傷みにくいのが利点

作業服は名前の通り、作業に従事する人が着用する衣類です。ひと口に作業と言ってもその内容は多彩ですが、作業服に関しては工事現場や工場など肉体労働の現場における作業を意味しています。非常に過酷な環境であり、埃や油脂、薬品などの汚れが付着しやすいのが特徴です。

通常の衣類ではすぐに生地が傷んでしまい、着用に適さなくなってしまいます。その点、作業服は厚手の生地で作られているので多少の汚れでは傷むことはほとんどありません。また、引っかけにも強いので破れにくく、長く使い続けることができます。

縫い目も頑丈に補強されているので強く引っ張ってもほつれが生じにくく、安全に着用することができます。

着心地の良し悪しが重視されなかった理由と問題点

作業服は頑丈な衣類である一方、その着心地は決して良くはないのが従来の常識でした。実用品である作業服には着心地の良さを求めるほうが間違いという風潮もありましたが、これは作業服の生地が厚く、固いのが大きな理由です。

破れやほつれなどの不具合が生じないように、作業服は頑丈な生地で作られています。外部からの様々な刺激に強い生地にするにはどうしても厚みと固さを増す必要があり、それに伴って生地の伸縮性や柔軟性が大きく損なわれてしまったのです。

衣類の着心地の良し悪しは体を自由に動かせるかで決まります。生地が柔らかく伸縮性に富んでいる衣類は体を動かしやすく、着心地が良いと感じさせます。その一方で頑丈な作業服は生地が固いので伸縮性が乏しく、体を動かすのが困難です。

特にかがんだり足を大きく曲げる際に強い抵抗を感じるため、作業服は着心地が悪いと評価されてしまいます。もちろん、着心地の良さを優先するあまり生地の強度を低くするのは作業服を作るうえで良い選択ではありません。

しかし衣類の着心地の良し悪しは作業効率に大きな影響をもたらします。いくら頑丈であっても肌に馴染まず、着心地の悪い作業服では仕事の質が下がってしまうことがあるのです。そのため、近年では頑丈でありつつ、伸縮性に富んだ生地で作業服を作る傾向があります。『参考:作業ブルゾン:ユニフォームタウン

着心地を良くするために裏地の材質を変えたり、通気性を向上させるなど様々な工夫が施されているのです。

体温の上昇を抑える空調服が作業服に大きな変化をもたらす

作業服は通気性が乏しく、体温が籠りやすい点が問題視されていたのも事実です。厚く固い生地で作られている作業服は繊維のすき間がほとんど無く、通気性は一般的な衣類と比べると非常に低くなっています。熱気が籠りやすいので気温が上がる夏季は体温の急激な上昇に見舞われることも珍しくありません。

その一方で外気の影響も受けやすく、氷点下まで気温が下がることもある冬季はまともに低温の影響を受けてしまいます。夏は暑く冬は寒いという保温性の乏しさが着心地の悪さに拍車をかけている点は否定できません。空調服はそのような問題の解決を目的として作られた、斬新なアイデアの作業服です。

専用の小型ファンで衣類の内側に風を送り込み、空気の層を作って外気の影響を遮断します。空気の層は遮熱効果が高いので、気温が上昇しても体への影響はほとんどありません。猛暑とされるほどの高温になっても空調服を着ていれば発汗すらしないこともあるのです。

空調服に付属しているファンはあくまでも外気を衣類の内側に送り込む機器なので、体を冷やす冷風を作るわけではありません。しかし体を冷やし過ぎる心配が無いので健康管理に役立つ他、冷房機器の過剰な使用も抑えることができるので電気の無駄遣いも減らすことが可能です。

作業服の暑苦しいイメージを払しょくする効果もあり、現在では高温下での作業以外にオフィスワーク用の制服や室内着としての需要も増えています。

空調服の普及が作業服を日常生活で用いる衣類として扱うきっかけになったと言っても過言ではありません。

ファッション性が求められる作業服について

実用品としての機能性が第一とされていた作業服ですが、近年ではファッション性が求められるようになっています。地味な暗色系のデザインが従来の作業服でしたが、鮮やかな色合いの生地を使った作業服が増加しているのです。

中には複数の色を組み合わせた、非常に派手で斬新なデザインの作業服もありますが、これは単なるファッションではなく作業内容に適しているデザインなのです。

派手な色合いの生地を使っている作業服は夜間作業など視界が悪い環境での仕事に多用されています。ひと目で誰がどこにいるのかが把握できるように、遠くからでも目立つ派手な色合いの生地を使っているのです。トンネル工事や背丈の高い雑草が生い茂っている山地での作業に従事する人が好んで着用しています。

また、ファッション性と機能性を両立させた作業服はポケットの数が多いという特徴があります。作業服においてポケットは引っかけの原因になりやすいとされ、ほとんど付いていないのが従来の常識でした。しかし仕事内容によってはポケットがある方が小物の扱いが容易になることもあるため、特定の仕事に向けたデザインとしてポケットが多い作業服が増加したのです。

デスクワークに従事する割合が多い仕事ほど、ポケットが多い作業服を使う傾向があります。もちろん、突起物などに引っかかる危険が無くなったわけではないので、作業服のポケットはフタやファスナーが付いているのが普通です。

おしゃれ着として作業服を着こなす工夫

実用的な衣類である作業服をおしゃれ着として着こなすのは決して容易ではありません。しかしアクセサリーと組み合わせるなどの工夫により、武骨なデザインの作業服もスタイリッシュな一着に見せることができます。使用頻度の高い小物をポケットに収納するなど、作業服のデザインを活かした着こなしもファッショナブルなイメージ作りに効果的です。

他の衣類と組み合わせるのも良い方法ですが、色合いには注意しなければいけません。白と黒、赤と青のように対照的な色を組み合わせると明るい雰囲気を出すことができますが、生地の材質が色の質感を変えることもあるので異なる材質の生地を組み合わせる際は慎重な判断が必要です。